ここまでの説明で honmon
ファイルは生成できるように
なりましたが、これだけでは JIS X 4081 形式の書籍として完全なものでは
ありません。
この章では、JIS X 4081 形式の書籍としてパッケージ化する方法などに
ついて説明します。
JIS X 4081 形式の書籍では、これまでに生成した honmon
ファイルの他に、catalogs
というファイルが必ず必要です。
FreePWING には catalogs
ファイルを生成する仕掛けが用意
として、EPWUTIL というソフトウェアに付属している catdump
コマンドと互換の Perl スクリプトが用意されています。
catdump
を使って catalogs
ファイルを生成する
には、まず次のような catalogs.txt
ファイルを用意します。
[Catalog] FileName = catalogs Type = EPWING1 Books = 1 [Book] Title = "国語辞典" BookType = 6001 Directory = "KOKUGO"
用意ができたら、実際に catalogs
ファイルを生成します。
catdump
を直接起動する代わりに、次のようにします。
% fpwmake catalogs
catalogs.txt
ファイルの書式の詳細については、
EPWUTIL 付属の catdump
のマニュアル
をご覧ください。
なお、/usr/local/share/freepwing/catalogs
ディレクトリに
catdump 用の catalogs.txt
のサンプルファイルと、 catdump
で生成した catalogs
ファイルがインストールされます
(ただし、FreePWING を /usr/local
以下にインストールして
datadir を変更していない場合)。
こちらを参考にすると良いでしょう。
用意した Makefile
にいくつかの変数を追加することで、
パッケージ化を容易にすることができます。
以下に記述例を記します。
PACKAGE = kokugo-fpw1.0 PACKAGEEXTRA = README.pkg=README TODO VERSION PACKAGEDEPS = VERSION ARCHIVEEXTRA = README.pkg TODO CLEANEXTRA = VERSION DIR = kokugo VERSION: rm -f $@ date +'version %Y-%m-%d' > VERSION
各パラメタの意味は、次の通りです。
PACKAGE
kokugo-fpw1.0
、ファイル
名は kokugo-fpw1.0-src.tar.gz
になります。
また、JIS X 4081 形式に変換した書籍データ一式をパッケージ化して
tar+gzip 形式や zip 形式でアーカイブする際のファイル名にも使われます。
上記の例では kokugo-fpw1.0.tar.gz
、
kokugo-fpw1.0.zip
になります。
PACKAGEEXTRA
catalogs
、
honmon
および外字ファイル) を収めたアーカイブを作る際に、
書籍データ以外に一緒に入れるファイルを書き並べます。
`ファイル名=ファイル名' という形で指定した場合は、左辺のファイルを右辺
のファイル名に改名してパッケージに入れることを意味します。
PACKAGEDEPS
PACKAGEEXTRA
で指定したファイルの中に、最初から用意されて
いるファイルではなく、何らかの処理をして生成しなくてはならないファイル
があった場合は、この PACKAGEDEPS
に書き、生成方法を
Makefile
の中に記しておくと良いでしょう。
ARCHIVEEXTRA
README
、
Makefile
、catdump 用の catalogs.txt
以外に
一緒に入れるファイルを書き並べます。
`ファイル名=ファイル名' という形で指定した場合は、左辺のファイルを右辺
のファイル名に改名してパッケージに入れることを意味します。
DIR
honmon
および外字ファイルを収めるサブディレクトリの名前
です。
catalogs.txt
の中で Directory
パラメタに
書いた値を小文字化したものを指定する必要があります。
また、この DIR
の値は、変換した書籍データ一式を
パッケージ化する際のトップディレクトリにも使われます。
前節で説明した改良を Makefile
に施したら、fpwmake を実行
してみます。
まず、JIS X 4081 形式に変換した書籍データ一式をインストールしてみます。
これには、install ターゲットを使います。
% fpwmake install
FreePWING を /usr/local
以下にインストールし、
datadir
の位置を変更していなければ、
/usr/local/share/dict
にインストールされます。
前節の例を使った場合、ディレクトリ以下は次のようになります。
kokugo/README kokugo/TODO kokugo/catalogs kokugo/kokugo/data/honmon
別の場所にインストールしたい場合は、INSTALLDIR
で指定
します。
% fpwmake install installdir=/some/where
次に、JIS X 4081 形式に変換した書籍データ一式をパッケージ化して tar+gzip 形式および zip 形式でアーカイブしてみます。 (インストールを実行しなくても、アーカイブの作成は可能です。) これには、package ターゲットを使います。
% fpwmake package
先にも記しましたが、今回の例では、できあがるファイル名は
kokugo-fpw1.0.tar.gz
、kokugo-fpw1.0.zip
に
なります。
これらのファイルに収められるファイルは、次の通りです。
基本的に、インストールのときの構成と同じです。ただし、zip 形式では
ファイル名およびディレクトリ名は大文字になります。
kokugo/README kokugo/TODO kokugo/catalogs kokugo/kokugo/data/honmon
最後に、変換プログラム一式をパッケージ化して tar+gzip 形式でアーカイブ してみます。 (honmon を作成していなくても、アーカイブの作成は可能です。) これには、archive ターゲットを使います。
% fpwmake archive
今回の例では、できあがるファイル名は
kokugo-fpw1.0-src.tar.gz
になります。
これらのファイルに収められるファイルは、次の通りです。
kokugo-fpw1.0/README kokugo-fpw1.0/catalogs.txt kokugo-fpw1.0/Makefile kokugo-fpw1.0/README.pkg kokugo-fpw1.0/TODO